はてなブログで築いてきた記事数や検索流入を、そのままWordPressへ引き継ぎたい──。個人ブロガーの多くが感じる不安は、移行中のアクセス急減やSEO評価のリセットです。本記事では、サーバー準備から記事データのエクスポート・インポート、画像&記法変換、さらにSEO資産を守るリダイレクト設定やアクセス維持策まで、すべてのステップを網羅。移行後も記事が上位表示を継続し、読者にストレスを与えない最適なワークフローをご紹介します。
サーバー&独自ドメインの準備
結論:はてなブログからWordPress移行の成功は、まず信頼性の高いレンタルサーバーと適切な独自ドメイン設定から始まります。
理由:安定したサーバー環境は表示速度やSEOにも直結し、独自ドメインはサイトの資産化とブランディングに不可欠だからです。
具体例:
- レンタルサーバー選びのポイント
- 稼働率99.9%以上:アクセス増加時も落ちない
- WordPress最適化プラン:自動バックアップ・キャッシュ機能
- 日本国内サーバー:国内ユーザーの体感速度向上
- 独自ドメイン取得とDNS設定
- レジストラで「.com」「.xyz」などを選定
- WHOIS情報保護オプションの有無確認
- 取得後、ネームサーバーをレンタルサーバー指定に変更
レンタルサーバー選びのポイント
- 稼働率(Uptime)99.9%以上:サーバーダウンは機会損失だけでなく、SEO評価にも悪影響を与えます。稼働率が高いサービスを選ぶことで、常に安定した表示を維持できます。
- WordPress最適化プランの有無:多くのホスティングは、PHPバージョンの自動更新、独自キャッシュ、ワンクリックバックアップなどを備えた「WP専用プラン」を提供しています。これにより、速度とセキュリティが強化され、管理負荷も軽減されます。
- 国内サーバーロケーション:日本の読者が多い場合、国内データセンターを選ぶことで回線距離が短縮され、体感速度が向上します。
- 無料SSL/TLSの提供:Let’s Encryptなどの無料SSLを標準搭載しているか。HTTPS化はSEO必須要件です。
- 自動バックアップ機能:事故やミスに備え、毎日あるいは週次でバックアップを自動取得してくれる機能があると安心です。
独自ドメイン取得とDNS設定
結論:独自ドメインはブランディングとSEO資産の共通基盤となるため、移行前に確実に取得し、DNS設定を完了させておきましょう。
理由:はてなブログではサブドメイン(hatenablog.com/ユーザー名)がデフォルト。独自ドメインに統一することで、後のリダイレクトが容易になります。DNSでのCNAME/Aレコード設定を移行前に完了させておけば、移行当日の切り替え時にダウンタイムを最小化できます。
- レジストラ(お名前.com、ムームードメインなど)でドメインを検索・取得。
- WHOIS代行サービスを利用してプライバシー保護設定。
- レンタルサーバーが指定するネームサーバー(例:ns1.example.jp、ns2.example.jp)をドメイン側で登録。
- DNSレコードを確認し、AレコードでサーバーIPを指すか、CNAMEでwwwサブドメインをルートドメインに紐づける。
- SSL証明書の発行リクエストをサーバー管理画面から実行し、HTTPSアクセスを確認。
記事データのエクスポート&インポート
結論:はてなブログからの記事データを正確にWordPressへ移行するには、XMLエクスポートとWP標準インポーターを併用し、文字化けや重複投稿を防ぐ必要があります。
理由:直接データベースを触らずとも、公式機能だけで記事・コメント・カテゴリーを移行できるため、ミスリスクを低減しつつ大量の記事を確実に移行できます。
はてなブログのエクスポート方法
- 管理画面にログイン → 「設定」→「詳細設定」→「データのエクスポート」をクリック。
- 出力されたXMLファイル(hatenablog_export.xml)をダウンロード。
- 文字コードはUTF-8のまま使用。Shift_JISに変換しないこと。
WordPressへのインポート時の注意点
- 「ツール」→「インポート」→「Movable Type and TypePad」を選択。
- プラグインが未インストールの場合は「今すぐインストール」をクリックし、有効化。
- エクスポートしたXMLをアップロード。
- 投稿者の割り当て:既存ユーザーにマッピング、あるいは新規ユーザーを作成。
- 「添付ファイルをダウンロードしてインポートする」にチェックを入れ、はてなブログ内の画像も自動取得。
- インポート後の重複チェック:同一スラッグの記事がないか、管理画面で確認。
インポート後の検証:
- 記事数:はてなブログのダッシュボードとWordPressの「投稿一覧」を照合。
- カテゴリー・タグ:はてなで設定したカテゴリ構造が正しく反映されているか確認。
- コメント:はてなIDで投稿されたコメントが、WordPressコメントとして取り込まれているか。
画像移行とはてな記法の変換
結論:はてなブログ特有の画像ホスティングと記法を適切にWordPressへ移行するには、FTPによる画像一括取得と、記法のHTML/Markdownへの変換を丁寧に行うことが必要です。
理由:はてなブログは画像を独自サーバーにホストし、専用記法(<img src=“...hatena…”>
や [[ファイル:...]]
)で表示します。このままではWordPressテーマとの互換性が低く、またSEO上のalt属性やmetaデータが欠落する恐れがあります。画像パスがはてなドメインのままでは、将来的な管理が煩雑になるため、自前サーバーに移して一元管理するのがベストプラクティスです。
1. FTPでの画像一括ダウンロード
- はてなブログ Pro のユーザーページからSSH/FTPアカウントを取得(Proプラン限定機能)。
- SFTPクライアント(FileZillaなど)を使い、はてな提供のサーバーに接続。
/images/
フォルダをローカルに丸ごとダウンロード。- ダウンロードしたフォルダを、WordPressの
/wp-content/uploads/YYYY/MM/
構造に合わせて整理。
2. 画像パスの一括置換
- Search Regex や Better Search Replace プラグインを導入。
- 以下のように、はてなドメインのURLを自ホストのURLに一括置換。
検索パターン: https?://cdn\.hatena\.ne\.jp/.*?/images/ 置換パターン: https://あなたのドメイン/wp-content/uploads/
- テスト投稿で置換が正しく機能しているか、画像が正常に表示されるか確認。
3. はてな記法のHTML/Markdown変換
はてな記法例:[[ファイル:sample.png|200x200]]
HTMLへの変換例:
<img src="https://あなたのドメイン/wp-content/uploads/2023/07/sample.png" width="200" height="200" alt="sample">
Markdownへの変換例:
{width=200 height=200}
自動変換方法:
- RegEx Replace Tool で、以下の正規表現を設定し自動置換:
検索: \[\[ファイル:(.+?)\|(\d+)x(\d+)\]\] 置換: <img src="https://あなたのドメイン/wp-content/uploads/$1" width="$2" height="$3" alt="$1">
- 置換後、投稿内の全ての記法がHTMLに変換されることを確認。
4. 代替テキスト・メタデータの最適化
- SEOとアクセシビリティ向上のため、alt属性には「記事テーマ+画像内容」を簡潔に記述。
<img src="…/sample.png" alt="WordPress移行手順サンプル画面">
- タイトル属性やキャプションが必要な場合、WordPressのメディアライブラリ上で手動設定を検討。
5. 移行後の動作確認
- 代表的な投稿を10件程度ピックアップし、画像が正しく表示され、alt属性が設定されているかチェック。
- モバイル表示確認:レスポンシブテーマの場合、幅指定をCSSで管理する設定に変更。
- ブラウザキャッシュクリア後も、最新の画像が読み込まれることを確認。
リダイレクト設定でSEO資産を守る
結論:旧はてなブログのURL構造からWordPressの新URLへ301リダイレクトを的確に設定することで、検索エンジン評価を継承し、アクセス急減を防ぎます。
理由:301リダイレクトは「恒久的移転」を検索エンジンに伝える最も効果的な手法であり、旧URLのリンクジュース(被リンク評価)を新URLに引き継ぎます。
1. 旧URL→新URLマッピングの作成
はてなブログのURL例:https://username.hatenablog.com/entry/2023/07/01/sample-post
WordPressのURL例:https://your-domain.com/2023/07/01/sample-post/
マッピング表をCSVで作成:
old_url | new_url |
---|---|
/entry/2023/07/01/sample-post | /2023/07/01/sample-post/ |
2. .htaccessによる一括リダイレクト(Apache環境)
# BEGIN Hatena→WordPress Redirects
<IfModule mod_rewrite.c>
RewriteEngine On
RewriteBase /
RewriteRule ^entry/([0-9]{4})/([0-9]{2})/([0-9]{2})/(.*)$ /$1/$2/$3/$4/ [R=301,L]
</IfModule>
# END Hatena→WordPress Redirects
3. プラグインでの一括設定(簡易方法)
- Redirection プラグインをインストール&有効化。
- ツール→Redirectionから「新規グループ」を作成。
- パターンマッチ機能で旧URLパスを正規表現設定し、新URLパスへ301リダイレクト。
- ソースURL:
^/entry/([0-9]{4})/([0-9]{2})/([0-9]{2})/(.*)$
- ターゲットURL:
/$1/$2/$3/$4/
- フラグ:「Regex」「HTTP Code: 301」をチェック。
- ソースURL:
4. 設定後の検証
- curl -I コマンドで数件テスト:
curl -I https://your-domain.com/entry/2023/07/01/sample-post # HTTP/1.1 301 Moved Permanently # Location: https://your-domain.com/2023/07/01/sample-post/
- Google Search Console の「URL検査ツール」でリダイレクト先を確認。
- 実際にブラウザでアクセスし、旧URL→新URLへ確実に飛ぶかチェック。
テスト&公開後チェックリスト
結論:移行完了後は、公開前後にチェックリスト通りのテストとモニタリングを行い、トラブルを未然に防止します。
理由:移行プロセスは多岐にわたり、小さなミスが大きなアクセス減や表示崩れを招くため、事前・事後の確認が必須です。
移行前の最終テスト
- XMLインポート成功:エラーなし、投稿数一致
- テーマ表示確認:主要ページ(トップ/記事一覧/記事詳細)
- 画像表示チェック:5件以上の画像を確認
- SSL動作検証:全ページがHTTPSにリダイレクト
- パーマリンク設定:希望のURL構造が反映
公開後の動作確認
- 301リダイレクト動作:旧URL→新URL
- 内部リンク:カテゴリー/タグリンク切れなし
- メタ情報:タイトル/ディスクリプション表示確認
- コメント機能:既存コメント読み込みOK
- モバイル表示:スマホ/タブレットで崩れなし
- パフォーマンス:PageSpeed Insightsで70点以上
公開後モニタリング
- Google Analytics:
- 移行前後1週間のPV比較
- 離脱率・直帰率の変化
- Search Console:
- クロールエラー報告の有無
- 新URLのインデックス状況
- 外部被リンク:AhrefsやMozで上位被リンクのリダイレクト状況確認
アクセス維持&読者通知戦略
結論:移行後のアクセス急減を防ぐには、事前告知と移行後のフォローを組み合わせた「読者通知戦略」が効果的です。
理由:読者が突然のURL変更に気付かず離脱するリスクを最小化でき、SNSやメールでのリーチ強化により二次的流入も確保できます。
読者向け告知テンプレート
ブログ記事内告知例:
重要なお知らせ
いつも当ブログをご愛読いただき、ありがとうございます。
2025年8月10日より、当ブログはWordPressへ移行し、URLが変更となります。
旧URLにブックマークされている方は、お手数ですが新URLへの登録変更をお願いいたします。
新サイトではさらに快適な閲覧環境とコンテンツ拡充を予定していますので、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
SNS告知例
【サイト移転のお知らせ】
この度、当ブログははてなブログからWordPressへ完全移行しました!
新URLはこちら▶ https://your-domain.com
ブックマークの変更をお願いいたします😊
メールマガジン/RSS購読者への連絡
メール件名:「【重要】ブログ移行&新URLのご案内」
本文ポイント:
- 移行日時
- 新旧URLリスト
- 変更手順
- フィード再登録リンク
アクセス回復策事例
- 内部リンクの強化:関連投稿をサイドバーや本文下部に表示し、回遊率UP。
- 検索順位下落ページのリライト:トップ10板落ちした記事をSEO最適化し直す。
- プレスリリース配信:大手ブログメディアに移行報告を掲載し、被リンク獲得。
将来を見据えた運用・保守プラン
結論:移行後のサイトは、定期バックアップ・セキュリティ強化・バージョンアップ運用を組み合わせた保守体制で長期的に安定運用します。
理由:WordPressはプラグインやテーマのアップデート、PHPバージョン切り替えで脆弱性が生じやすく、運用コストと安心感を両立する仕組みが必要です。
1. 定期バックアップ
- 頻度:データベース:毎日、ファイル一式:週次
- 手段:管理画面のプラグイン(BackWPup, UpdraftPlus)、サーバー側オフサイトバックアップ
2. セキュリティ対策
- WAF(Web Application Firewall)導入
- セキュリティプラグイン:Wordfence、Solid Securityでログイン制限・ファイル監視
- 定期脆弱性スキャン:月1回
3. バージョンアップ運用
- PHP・WP本体の自動更新運用
- テスト環境での動作確認:ステージングサイトでプラグイン更新テスト
- 変更履歴管理:Git連携またはバックアップログで履歴保全
4. 定期レポートと改善提案
- 月次レポート:PV, SEO順位, セキュリティイベント数
- 四半期ごとのUX改善提案:ヒートマップ分析・クリック率最適化
まとめ
はてなブログからWordPressへの移行は、サーバー準備からデータエクスポート、画像変換、リダイレクト設定、テスト、読者通知、運用体制まで多岐にわたる工程を伴います。しかし、SEO資産を守りつつ移行後も安定したアクセスを継続するためには、各ステップを丁寧に実行することが不可欠です。
今すぐ、レンタルサーバー選定と独自ドメイン設定から着手し、これまで築いた記事資産を最大限に活かす移行プロジェクトを始めましょう。